2025年には、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上になります。高齢者が増えることによって、医療機関や介護施設、在宅など看護師の需要が高まっているのです。現
在働いている看護師等は日本全体で約160万人。2025年には約196~206万人の看護師等が必要だと推計されていますが、今後順調に増えていったとしても最大13万人の看護師等が不足するといわれています。
それに加えて、少子化が進んでいるので新しい人材もなかなか増やすことが難しいのです。平成以降政府は看護師養成数の増加に取り組んでおり、大学看護学部が1989年の11学部から2016年には254大学に急増しました。人気も高く、看護職員就業者も順調に増えていますが、「少子化の現状を考えると、新規養成数を増加させることは容易ではなくなる」(厚生労働省)と言われています。
医療業界で言う「西高東低」を知っていますか?
一般的には、日本から見た気圧の配置についての言葉ですが、実は医療業界でも「西高東低」という言葉は使われています。
人口10万人あたりの看護師数が多い県は高知県や鹿児島県、宮崎県、熊本県など西日本に偏っているのに対して、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県などの看護師数はわずか半分なのです。人口が多い首都圏では今後ますます高齢化が進み、看護師へのニーズが高まるにもかかわらず、看護師不足による病床閉鎖や医療事故を危惧する指摘もあります。
「7対1病床」という言葉を聞いたことはありますか?
1部屋あたり7人の患者さんに対して看護師が1人担当するという意味です。
2016年度に厚生労働省が診療報酬の改定をしました。診療報酬が高い7対1病床の用件を厳しくし、10対1病床に移行する方針を打ち出したのです。つまり、1人の看護師が受け持つ患者数が7人から10人になったということです。
看護師の離職理由のトップは「妊娠・出産」ですが、その次に続くのは「身体的健康状態」「精神的健康状態」です(日本看護協会調べ)。看護師の離職率は2011年度から約11%で、仕事の負担が大きいことも離職理由の一因になっているのです。